2025年1月6日(月)から坂田 純さんの個展『ゆっくり ゆっくり Ⅱ』がスタートします。会場は銀座奥野ビル3F「ギャラリー巷房1」。坂田さんには2024年10月に行われた富士栄秀也さんとの共同企画『美術と即興』でめちゃくちゃお世話になりました。その辺の話は記事後半をご確認ください。会期は1月6日(月)から11日(土)まで。ぜひ!
まずはDMからご紹介します。
バナナペーパーを使った泥臭さと熱量が魅力的な作品
前回(2024年1月)に行われた坂田さんの展示の感想を『ハート・トゥ・アート』のFacebookページで紹介していたので、まずは埋め込んでおきます。
さらに上記の投稿を個人でシェアした投稿も載せておきます。こちらは個人ページなので、埋め込みできないみたい。
こちら。
せっかくなので文章も載せておきます。
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銀座・奥野ビル「ギャラリー巷房」での Jun Sakata(坂田純)さんの個展。気になったのが支持体。独特の風合いで、「なにこれ? 紙? もしかして革?」なんて思ったが、答えはバリ島のバナナペーパー。バナナの茎の繊維を取り出して作られたもの。下地作りがかなり独特で、支持体の上を何十本もの白いクレパスを使って塗り重ねていく。ご本人は「こうなっちゃった」と涼しい顔をされているが、かなりの身体運動と “ 何か ” が内在しているように感じられた。作品を見ていて頭に浮かんだキーワードは「線の連なり」「滲み」「侵食」など……この辺のキーワードを関連づけながら考えていくと、坂田さんの下地づくりは、まるで「崖線」のようでもある。「崖線(がいせん)」とは崖の連なり。要するに侵食や地殻運動で時間をかけて作られた自然の連なりのようなもの。「アートはゼロから作るものだから」とおっしゃっていたが、下地作りの情熱はそこにあるのかもしれない。泥臭さと熱量が非常に魅力的で、惹きつけられた。そして教えてもらった坂田さんサイトで30年ほど前にやられていた真木画廊でのインスタレーションを、いま書きながら見て、納得。強烈。補足しておくが、投稿している画像は、あえて「線」の部分ではなく、「点」を中心に載せた。この「点」は今回の作品作りの中から生まれてきたものだそう。このアクセントは私的には「眼」と捉えた。眼は光を感知し、映像を知覚する器官である。坂田さんの作品に出現した「点(眼)」は、さらなる進化を予言しているように感じられた。今後が楽しみ。
前回、私はどうやら「点(眼)」の存在が気になっていたようです。はたして今回はどういった作品になっているのでしょう。とても気になります。
<展示詳細>
開催日:2025年1月6日(月)〜11日(土)
時間:12:00 ~19:00(最終日17:00まで)
お休み:なし
会場:ギャラリー巷房1(東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル3F)
アクセス:https://gallerykobo.jp/kobo/map.html#gsc.tab=0
巷房は奥野ビルでもっとも古いギャラリー
アート好きの方ならばご存知でしょうが、奥野ビルはたくさんのギャラリーが入っている昭和遺産的なビルです。
詳しいことをご存じない人もいらっしゃると思いますので、奥野ビルとギャラリー巷房について少し紹介しておきますね。
まずは奥野ビル。
完成したのは昭和7年です。90年を超える歴史です。当時は「銀座アパートメント」という名称でした。せっかくなら話のタネに館内中央にある手動扉のエレベーターに乗ってみてください。それから現場に行ったら、ビル正面から見てください。左右対称になっています。じつは奥野ビルは本館と新館というスタイルになっています。エントランスがあるのが左手が本館、右側にあるのが新館で本館から2年ほど遅れて完成したそうです。行ってみると階段がいっぱいあるような気になるはずですが、理由は本館と新館が組み合わさった建物だからこそなのです。
今度はギャラリー巷房について。
名前について。読めない人もいらっしゃるかと思います。「こうぼう」と読みます。30年以上の歴史のあるギャラリーで、奥野ビルに入ったギャラリー第1号でもあります。もし行かれたら作家さんの作品を見てもらうのは当然ですが、エントランスから床面などをチェックしてみてください。味わいありますから。
富士栄秀也さんとの共同企画『美術と即興』
最後になりましたが、富士栄秀也さんとの共同企画『美術と即興』についてです。
2024年10月14日に西荻「井荻会館」で行われた公演で、坂田さんの美術で室内全面を囲った空間で深谷正子さんがワークショップを行うというものでした。坂田さんにはホントにお世話になりっぱなしで、頭が上がりません。
公演の様子や坂田さんの紹介ページを貼っておきます。ぜひご覧になってください。
展示の様子
初日早めの時間にうかがい、ゆっくり&たっぷり話をしてきました。
この日は奥野ビルの画廊さんも含め、銀座界隈はお休みしているギャラリーが多く、しかも40日ぶりの冷たい雨だったせいもあり、街は静かめでした。
Facebookページに展示の様子を投稿したので貼っておきます。
念のために文章も抜き出しておきます。
2025年1月6日(月)、銀座・奥野ビル「ギャラリー巷房」にて 坂田 純さんの個展『ゆっくり ゆっくり Ⅱ』。坂田さんが「巷房」で個展をやるのは17回目。バナナペーパーを使った大小18点の作品。メインは1000 × 120cmの横型作品。全体的に前回に比べて色数が多くなったというのが第一印象。何度も書いているが、坂田さんには2024年10月に行われた富士栄秀也さんとの共同企画『美術と即興』で大変お世話になった。感謝! 詳細はこちら→ https://heart-to-art.net/improart/blog016-art-impro-20241014/
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第一印象のカラフルさに加え、DMで使われている微生物をクローズアップしたような作品に目を奪われた。なによりも生命力を感じた。昨年の展示では「点(眼)」が気になったと書いているが、そこから進化したともいえそうだ(下記ブログ参照)。「今回は変わたいと思った。変わることを意識してみたんです」。いつものように人懐こい笑顔で坂田さんが話してくれた。
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坂田さんの作品には独特の風合いがある。バナナの茎の繊維を取り出して作られたバリ島のバナナペーパーが支持体。さらに白いクレパスを塗り重ねて下地を作る。独特な手法により、まるで革のような、もしくは薄紙を何枚も重ねて強く圧縮して作った厚紙のような雰囲気が生まれる。柔らかさと重厚さがミックスしたような下地にクレパスや柿渋で描き、目打ちで引っ掻き、作品に仕上げていく。今回も基本はそのスタイル。作品の全体像と合わせて、紙の断面や繊維の雰囲気も味わって欲しい。
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ギャラリーに入ってすぐに大型の横型作品(3000 × 120cm)が目に入ってくる。縦横のラインの区切りは、まるでブロックを重ねたようにも見える。なぜか他の作品と比べて硬い雰囲気。不思議に感じて理由をたずねてみると、この作品だけはアクリルを塗ってからクレパスを塗り重ねたそう。また、乾くとパリパリ感が出る柿渋を大量に使ったことも大きな理由といえそうだ。ブロックと書いたが、私は地面の断面図のような印象を受けた。実際はバリの田んぼを俯瞰したもの。ちなみにインドネシアは農業国。驚くことにお米の生産量は日本の8倍ほどだ。
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反対側にはグリーン、ブルー、オレンジなどのカラフルな作品が並ぶ。微生物のような、幼虫のような、生き生きとした生命力が感じられる。目打ちによる引っ掻きも、気のせいか以前よりも丸みが出ているような気もした。ちなみに目打ちはそのまま使うと線が鋭くなりすぎるので、ヤスリで削って丸みを出しているそうだ。
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個人的にイチバン気になったのは、黒く細かい四角が散りばめられた作品。非常にデザインチックでもある。遠目に見ると、写植の文字盤のようにも見える。近くで見ると、目打ちで削った枠内に細かくハサミでカットした四角が整然と貼り込まれている。かなり手の込んだ作業。結局、最後まで何に見えるか思い浮かばなかった。ただ、本の装丁に使ったら面白いとも感じた。展示期間中に銀座に行く可能性があるので、もう一度見てみると何らかのイメージが浮かんでくるかもしれない。展示は11日(土)まで。ぜひ!
◯坂田 純 個展
『ゆっくり ゆっくり Ⅱ』
開催日:2025年1月6日(月)〜11日(土)
時間:12:00 ~19:00(最終日17:00まで)
お休み:なし
会場:ギャラリー巷房1(東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル3F)
アクセス:https://gallerykobo.jp/kobo/map.html#gsc.tab=0
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