活動日記

いかなる時にも、もう一歩! あなたの一歩は本当に正しい一歩なの?|活動日記:2023年1月8日

投稿日:2023-01-08 更新日:

いかなる時にも、もう一歩! あなたの一歩は本当に正しい一歩なの?|活動日記:2023年1月8日

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2023年01月08日の『ハート・トゥ・アート』活動日記です。
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表現者の言葉と活動報告を絡めた日記です。簡単でも自分のできることを積み上げて(更新して)いきたいです。

 

今日の表現者の言葉は、武者小路実篤です。

 

「いかなる時にも自分は思う もう一歩 今が一番大事な時だ もう一歩」(武者小路実篤)

 

小説家、劇作家、思想家、詩人、そして画家としても生きた武者小路実篤(←クリックすると、アマゾンのページに飛びます。以下のリンク同様)が残したものは偉大で、かつ多種多様です。

 

最初の大きな実績は、なんといっても『白樺』の創刊です。武者小路実篤が発起人となって創刊した『白樺』は、約13年間に渡ってトータルで160号を発刊した同人雑誌です。その内容は先端の西洋美術を中心に紹介する美術メディアというものでした。ちなみに武者小路実篤が25歳の頃の話です。

 

昨日の活動日記で紹介した岸田劉生は『白樺』と出会い、武者小路実篤に評価されることで才能を深化させていくこととなりました。そんな流れから今回は武者小路実篤の言葉を取り上げました。

 

取り上げた武者小路実篤の「一歩」というのは、非常に奥深く内容が濃い「一歩」だと感じます。その理由については後半をお読みください。

 

それにしても人物を取り上げるスタイルが、だんだんとリレー方式の色合いが濃くなりつつありますね(苦笑)

 



 

 

四半世紀もの時間をかけ、オレは何をやってきたのか?

最近は過去の仕事や活動の資料を整理しています。

 

紙の資料などを残すのは私の性癖みたいなもので、古くは20代前半の頃のメモ書きすらも残してあります。カッコよく言ってしまえば、当時から「オレが死んだら、このメモ書きに価値が出るようになる人物になりたい」と思っていたからでもあります。まぁ、でも、結局は捨てられない性格なんですよね。執着心が強すぎるともいえます。

 

そんなわけで古い資料を整理していると2010年前後のNPO関連の会議資料などが発掘されました。当時、私は杉並区のNPO支援基金活動普及委員のメンバーの一人でした。その会議メモの内容が濃いんです。内容的にオープンにしにくいものですが、いかに当時の私が意欲的だったのかがわかります(苦笑)。

 

そもそも現在ではNPOなんてものは当たり前の存在ですが、杉並区のNPOの歴史に関しては創世記から関わってきていますし、かつては「協働」という言葉がが役所内で嫌われていたいた時代も知っています。そんな時代の資料(メモ書き)を残しているなんて、かなり問題ですよね。垢がたまりすぎです。

 

 

「自分が関わった活動は、本当に意味のあるものだったのだろうか?」

 

 

そんな資料を見ながら思ってしまいました……。

 

実際、自分の行動のすべてに意味をもたせる必要はありませんし、そもそも自分の行動は何らかの形で役立っているともいえます。しかし、当時使った時間やエネルギーは……ボランティアで、いや、それどころか身を削って持ち出しで使ってきた時間やエネルギーは本当に意味のあるものだったのだろうか? なんて思いながら資料をななめ読みし、最後は保管されていた場所に戻しました。

 

 

「えっ!? 捨てないんかぁ〜〜〜〜い!」というツッコミが入りそうですが、思い切って捨てないところが往生際の悪いところです。

 

 

いや、とんでもない! 単なる性癖で捨てなかったわけではありません。

 

それなりに理由があります。その理由は後半で……。

 

 

・ ・ ・

 

 

冒頭の武者小路実篤の言葉をもう一度。

 

 

「いかなる時にも自分は思う もう一歩 今が一番大事な時だ もう一歩」

 

 

そもそも彼の「一歩」には、どんな意味合いがあったのでしょうか?

 

そんな疑問が浮かび、実篤の若い頃のエピソードを調べてみました。すると「一歩」にかける実篤の情念が浮かび上がってきました。

 

実篤にとっての「一歩」は、一般的に使われている「一歩一歩」「コツコツ」などという言葉とはそもそもレベルが違うんです。

 

 

 

武者小路実篤の「一歩」と凡人の「一歩」の違い

『白樺』創刊時、実篤はフランスにいるロダン(当時70歳)に手紙を送り、「特集をやるから写真とメッセージをよこしてほしい」と手紙を送ったそうです。これは1910年の話です。

 

ちなみにロダンはこの手紙に感激して返事をするどころか、その後には「自身の彫刻と浮世絵を交換する」という関係にまで発展しました(ちなみに実篤たちが受け取ったロダンの彫刻は岡山県倉敷市の大原美術館に収蔵されており、実篤らが送った浮世絵や手紙はフランス国立ロダン美術館に収蔵されている)。

 

このエピソードでもわかるように実篤の凄い部分は、図抜けた壮大な目標を思い描き、それをやり遂げる並外れた実行力を兼ね備えているところでしょう。

 

 

これは実篤の天賦の才だったのでしょうか?

 

 

いや、それは違います(違うと思いたいです)。

 

実篤の若い頃のエピソードを調べると、武者小路実篤の「一歩」と凡人の「一歩」との違いが浮かび上がってきました。

 

そのように思うに至ったエピソードを、2つ紹介しておきます。

 

 

・ ・ ・

 

 

まず1つ目。実篤は初等科から大学院まで学習院で過ごしました。そもそも江戸時代以来の公卿の家系であり、父親の武者小路実世(さねよ)も大人物だったからです。しかし父親は実篤が満二歳の時に肺病で亡くなったこともあり、生活はかなり困窮していたようです。母親は地位の維持に必死になり、実篤も同級生と満足に遊ぶこともできませんでした。つまり幼少期から多感な10代までどっぷりと劣等感に浸る状況でした。

 

続いて2つ目。実篤は自宅と学校の往復ばかりだったせいで、運動オンチになります。そもそも当時の学習院では運動で活躍すると、活躍した人が仲間に饅頭を奢るというルールがあったそうで(ホールインワン賞みたいww)、貧乏な実篤は運動で活躍するなどできるはずもありませんでした。しかし、ひとつだけ自信が持てる運動がありました。それは……徒歩です。家が貧乏のため自転車を買ってもらえなかった事情もあり、徒歩、徒歩、徒歩の毎日でした。有名な話ですが、友人の志賀直哉と2人で静岡県御殿場から群馬県赤城までの300キロ以上の行程を5日間で歩いたという逸話も残っています。

 

このエピソードから推察するに、若い頃から劣等感を抱いていた実篤は、壮大な目標を掲げて実現することを求め、自分の「一歩」に大きな意味を持たせるようになったのではないでしょうか。

 

 

・ ・ ・

 

 

さて、資料整理の話に戻ります。

 

私が『ハート・トゥ・アート』の活動を始めた後、他の地域活動をボランティアで手伝うことが異常に増えました。要するにイベントでお世話になった人が増えれば増えるほど、お礼としてそういった活動に参加するようになったわけです。

 

社会教育の企画で講師をしたり、なんちゃら委員会に所属したり、現在もボランティアセンターの運営委員をやっていますが、もう17年くらい続けているはずです。その他にも商店街や地域イベントへの協力など、書き出したらきりがない程の活動に関わりました。

 

本業と合わせて『ハート・トゥ・アート』の活動、さらに地域活動をやるわけですから、たまったもんじゃありません。一週間の内、半分は布団で寝られない日々が続いたこともありました。当然身体も壊します。心もヤバくなります。

 

そんな日々を私は一歩一歩の積み重ねが大事だと思い、それなりにしのぎながらここまで来ました。

 

苦しいときに立ち向かう一歩は単純に美しいし、大きな経験にもまります。

 

しかし、過ぎてしまえば終わり。消費的な一歩は悪いことではないですし、見方によってはアート的な刹那な瞬間美があるともいえます。

 

しかし反面、焦点がぼけるのは否定できません。はたしてその一歩にどれだけの価値があったのでしょうか。

 

 

・ ・ ・

 

 

過去の資料を捨てなかったのは、捨ててしまうと自分の一歩を無にしてしまうような気分になったからです。

 

どうやら今後は一歩の価値を意識して高めていく必要がありそうです。もちろん過去の一歩もアーカイブにすれば、俄然意味のある一歩に変化するかもしれません。

 

作家さんの中には自分のアーカイブをまとめていない人も少なからずいますが、それと同じですよね。

 

 

 

もっと深化と進化を! 活動日記の一歩の真価を見い出せ!

過去の資料のことも大事ですが、この活動日記の「一歩」を考えてみました。

 

活動日記を書くのは、それなりに難儀です。面白いけれど、それなりに時間がとられてしまいます。

 

「もう一歩(もう一日)」と書く重ねていくことは美しい努力ではあります。しかし、実篤の「一歩」に比べ、自分の「一歩」は安っぽく感じられてしまいます……。

 

 

なぜなのか?

 

 

それは……

 

 

やはり目的が稚拙だからでしょう。実篤のような壮大な目的がないからです。

 

よく巷で見かける「休まず書く」というのは、本質的には目的ではありません。厳しい言い方ですが、最初から手段を目的化している悪例ともいえます。

 

 

この活動日記も単に書くのではなく、例えば「内容を昇華させて本にまとめる」といった目標を立てたとします。そうなると「一歩」の意味合いも、「一歩」の時間の使い方も、「一歩」も見せ方も変わってきます。

 

 

いや、単純に本をまとめる程度では、意味づけが薄いでしょう。実篤に鼻で笑われてしまいそうです。例えば自分が尊敬する青山二郎に近づけるようになるとか、2023年中にアート関係の文章で何か爪痕を残すとか、目標の立て方もより具体的に考えた方がいいでしょうね。

 

 

実篤の「一歩」と凡人の「一歩」の違いとは、そういうことなのでしょう。

 

 

・ ・ ・

 

 

念のために言っておきますが、意味のあるなしに関係なく、一歩は尊いことです。一歩という点がつながれば線にも面にもなります。それを踏まえて上で、「一歩」を深めていくことが大事と言いたいだけです。

 

 

武者小路実篤は「人間らしく生きる(自己を生かすための自分らしい目標を追い求めて生きる)」ことが大切さを生涯かけて実践してていた人です。「新しき村」を作ったのも、そのような生き方をする人を一人でも増やしたかったのはないでしょうか。

 

「一歩」の大切さを今更ながら痛感していますが、ま、これからやればいいですよね。

 

有意義な「一歩」のためにも壮大な目標を掲げ、「一歩」を深めていくこと。

 

 

 

できるのかな?

 

 

 

それにしても今回も乱雑な脳内の書き散らし文章になってしまいました。つか、なんか説教臭いな……。

 

では、今日はここまで!

 

2023年1月8日(日)

 

以上

 

 

 

今回の記事は以上となります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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